今週のインデックスは.・・・御坂峠
「富士には月見草がよく似合う。」
文豪・太宰治が、御坂峠に滞在した際のことを記した小説、「富嶽百景」にある有名な一節です。
8月19日から2週間にわたり放送した、富士山世界文化遺産のPRCMの中でもこの一節が表現されていましたが、皆さん気づかれましたか?
さて、御坂峠は甲府盆地と富士北麓の間にそびえる御坂山にあり、
現在は、御坂隧道・・・旧道の御坂トンネルの河口湖側口が御坂峠とされています。
鎌倉街道のルート上にある御坂峠は、昔から県内でも有数の難所とされ、旅人達の前に立ちはだかりました。
昭和6年、念願の御坂隧道が開通すると、自動車の通行ができるようになり、多くの人や自動車が往来するようになります。
トンネル付近にはお茶屋さんもでき、旅人にお茶や食事をもてなしたことから、「峠の茶屋」として大変な賑わいをみせました。
このお茶屋さんは、当初「峠の茶屋」、とか、富士山の絶景から「天下一茶屋」などと呼ばれていましたが、明治から昭和にかけ活躍したジャーナリスト徳富蘇峰(とくとみそほう)が新聞で「天下茶屋」と紹介したことで、一躍有名になりました。
この「天下茶屋」には、昭和13年に、太宰治が滞在し執筆活動を行ったことでも有名です。
太宰はこの後、甲府に移り住み多くの傑作を残しています。
御坂隧道は、昭和42年に開通した新御坂隧道にその役割を渡します。
新御坂隧道の開通により大幅な時間短縮が成し遂げられたことから、急速に旧道の往来は減少します。
この影響を受け、天下茶屋も一時は閉店していましたが、御坂峠からの絶景や太宰治の足跡を辿る観光客の増加から、復活を遂げ、営業しています。
建物の2階には、太宰が執筆をしていた当時の部屋が復元され、記念館として公開されているんですよ。
本格的な秋を迎えるこれからの時期、富士の絶景と文豪ゆかりの地を訪ねに、旧道を通って御坂峠を越えてみるのもいいですね
「やまなしINDEX」を放送後にホームページでもお聞きいただけます。
是非お楽しみ下さい!