今週のインデックスは…網倉の虫送り
いよいよ梅雨明けも近ずき、まもなく夏本番ですね。
さて今日のインデックス「網倉の虫送り」ですが、皆さんは「虫送り」という言葉を聞いたことがありますか?
「虫送り」とは、住んでいる地区や、耕作している田畑から、災いや害虫を追い払うために、夏の土用の頃 行われる伝統的な行事です。
松明を持った住民が、地区内や田畑を列になって歩き、火に集まった害虫を駆除したり地区の外に連れ出し(追い出したりする)、豊作や平穏を願います。
「虫送り」は、江戸時代に、西日本で発生した大規模な虫害がもとになって始まったと言われています。
この時代、害虫の発生や不作などは「悪霊や邪霊の仕業」と考えられていました。
そこで、農作物に害を与えたり、病気を流行らせたりする「霊」を地域の外に追い出すために「虫送り」が行われたのです。
地域によっては、わらで人形を害虫に見立てたり、読経などが行われるなど、信仰的な意味合いを持つ行事でもあったそうです。
かつて「虫送り」の風習は、全国各地で見られ、場所によっては夏祭りと一緒に行われることもありました。
甲府市出身の成島出監督の日本アカデミー賞を多数受賞した「八日目の蝉」のなかでも印象的なシーンとして描かれていましたよね
しかし、戦時中に灯りなどを制限した灯火管制や、戦後の農薬の発達などにより「虫送り」は急速に衰退し、現在ではほとんど見られなくなってしまいました。
当時を知るお年寄りによると、
「夕暮れの薄闇の中を、火を灯した行列が遠くから見え、大変幻想的だった」ことや、
「年に一度火遊びが許される日で、とても楽しみだった」ことが、
子どもの頃の思い出として強く記憶に残っているそうです。
さて、市川三郷町落居の網倉地区では、
現在も「虫送り」が、地域の住民の手により続けられています。
一時は人手不足などにより、ひっそりと行われていた期間もありましたが、地区外からの見物客が増えたことから、
「せっかく見に来てくれる人がいるなら、昔のように盛大にやろう」と話し合い、
大松明(おおたいまつ)を復活させるなど、地域を上げて「虫送り」に取り組んでいます。
今年は今月28日の夕暮れに行われるそうですよ。
ぜひみなさんも、脈々と受け継がれている「網倉の虫送り」を見物に出かけてはいかがですか
「やまなしINDEX」を放送後にホームページでもお聞きいただけます。
是非お楽しみ下さい!