今週のインデックスは・・・せいだのたまじ
上野原市の北部、長寿の里と呼ばれる「棡原(ゆずりはら)」地区は、都心から西におよそ60キロの距離にありながら、今もなお、清らかな水とのどかな自然が沢山残っています。
ここで、今日ご紹介する「せいだのたまじ」が誕生しました。
「せいだのたまじ」とは、いったいどんなものなんでしょうか。
ヒントは、この地域の農業にあります。
棡原は起伏の激しい斜面に広がる集落で、水の確保が難しいため、稲作ではなく、麦などの雑穀やイモ類、豆類などが中心に作られています。
特に「ジャガイモ」は、江戸時代、飢饉対策として栽培され、多くの住民の生活を助けました。
当時、全国規模で飢饉が発生して郡内地域も例外ではありませんでした。
飢餓から住民を救うため、この地域を治めていた
代官「中井清太夫(なかいせいだゆう)」が、ジャガイモ栽培を広めました。
飢饉を乗り切った住民は、その後、感謝の気持ちを込めてこのジャガイモを
「清太夫芋(せいだゆういも・せいだいも)」と呼ぶようになりました。
では、「たまじ」は何かと言うと・・・、
上野原市の棡原地区周辺地域で呼ばれていた小粒のジャガイモのことです。
せいだのたまじは、収穫しても売ることができない小粒のジャガイモを無駄にすることなく、美味しく食べられるように「味噌で甘辛く煮詰めた」、上野原市の郷土料理のことなんです。
さて、棡原はかつて「日本一の長寿村」として名を轟かせました。
長寿の秘訣は、標高の高い傾斜のきつい山道を行き来する生活に加え、食物繊維の多い食生活が複合的に重なって「健康・長寿」が育まれたと言われています。
現在でも、せいだのたまじを始め、雑穀やイモ類などの食文化を受け継ぐ家庭が多いんですよ
上野原市にある「ふるさと長寿館」では、せいだのたまじなど上野原市の特産品を使った郷土料理を、みなさんも召し上がることができます。
そばがきや麦とろ定食、さしみこんにゃくなど、長寿食の保存につとめながらも、現代人の嗜好に合うようにアレンジされたメニューが並んでいます。
観光分野では、ここ数年、現地でしか食べられない料理に注目が集まっているんですよ。
最近の観光旅行のキーワードに「安い」「近い」「短い」があります。
つまり、安い費用で、近くの観光地に、短い日程で旅行することです。
このような旅行スタイルでは「魅力的な食・お土産」がある地域の人気が高いんです。
固有の観光資源を持たない地域でも、気軽に食べられる、美味しい「食」、特徴のある「食」があれば、「まち」の活性化に繋がる時代なんですね。
かつて村人を飢饉から救ったジャガイモ。
現在は上野原市の郷土料理「せいだのたまじ」として「まち」を盛り上げています
「やまなしINDEX」を放送後にホームページでもお聞きいただけます。
是非お楽しみ下さい!